経鼻内視鏡検査とは?特徴や向いている人、検査の流れなどを紹介

経鼻内視鏡

経鼻内視鏡検査は、鼻から内視鏡を挿入する方法で、胃や消化管の状態を詳しく確認できる検査として、多くの医療機関で採用されています。

従来の胃カメラ(経口内視鏡)に比べると負担が少ないと感じる人も多いため、つらくない検査方法を求めている人にもおすすめです。

この記事では、経鼻内視鏡の特徴やメリット・デメリット、従来の胃カメラとの違い、経鼻内視鏡検査に向いている人、検査の流れなどを詳しく紹介します。

「経鼻内視鏡検査を受けるかどうか迷っている」「自分は向いているだろうか?」など、経鼻内視鏡検査について疑問がある人はぜひ参考になさってください。

経鼻内視鏡とは?

経鼻内視鏡

経鼻内視鏡とは、鼻から内視鏡を挿入する方法で、身体への負担が少ないと感じる人が多い検査方法です。

ここでは、経鼻内視鏡の概要や発見しやすい病気、検査を受けられる施設などについて紹介します。

経鼻内視鏡の特徴

経鼻内視鏡は、鼻から内視鏡を挿入し、食道、胃、十二指腸の状態を確認する検査方法です。

内視鏡が舌のつけ根に触れないことや、従来の経口内視鏡よりも細いスコープを用いて内視鏡を挿入することなどから、経口内視鏡に比べて苦痛を感じにくい特徴があります。

特に、検査中の『おえっ』となる反射(嘔吐反射)が苦手な人は、従来の経口内視鏡検査よりも受けやすいと感じるのではないでしょうか。

検査部位で組織採取をするような処置がなければ約5~8分ほどで完了します。

経鼻内視鏡は消化器系に異変を感じたり、遺伝的なリスクがあると考える人にぜひ積極的に受けていただきたい検査です。

経鼻内視鏡でわかる病気や状態

経鼻内視鏡では、胃や食道、十二指腸などに関連するさまざまな異常や病気を確認できます。以下は経鼻内視鏡検査によって見つかる病気の一例です。

  • 逆流性食道炎
  • 食道がん
  • バレット食道
  • 慢性胃炎(萎縮性胃炎)
  • 胃・十二指腸潰瘍
  • 胃ポリープ
  • ピロリ菌感染症
  • 胃がん
  • 十二指腸がん など

健康診断で要精密検査になったり、自覚症状で内科・消化器科を受診した場合も、経鼻内視鏡で精度の高い検査を行うことによって確定診断がつきやすくなります。

中にはピロリ菌感染症のように、薬の内服のみで胃潰瘍や十二指腸潰瘍、がんなどのリスクを軽減できるケースもあります。

気になる症状がない場合でも、健康維持や予防の一環として、経鼻内視鏡検査を取り入れてみるのもおすすめです。

経鼻内視鏡検査が受けられる施設

経鼻内視鏡検査は、多くの病院やクリニック、人間ドックで受けることができますが、すべての施設が対応しているわけではありません。

経鼻内視鏡検査を希望する場合は、対応している医療機関や人間ドックを選択しましょう。

また、検査を受ける際には、内視鏡専門医が在籍している施設を選ぶとより高い検査精度が期待できます。

広尾クリニック内科・消化器では、専門医が丁寧で精度の高い診療や検査を心がけています。経鼻内視鏡検査で疑問や質問があれば、お気軽にお問い合わせください。

経鼻内視鏡検査のメリット

経鼻内視鏡

経鼻内視鏡検査にはさまざまなメリットがあります。

嘔吐反射が起こりにくい

経鼻内視鏡の大きなメリットのひとつは、検査中の嘔吐反射が起こりにくいことです。

従来の経口内視鏡では、内視鏡が喉を通過する際に嘔吐反射を引き起こすケースが多く、苦痛を感じて検査に苦手な感情を持つ人も少なくありませんでした。

しかし、経鼻内視鏡は鼻から挿入するため、喉に直接刺激を与えることがなく、嘔吐反射や不快感を抑えながら検査を進められます。

もともと嘔吐反射が強い患者さんや、過去に経口内視鏡検査で辛い思いをした経験がある患者さんにとって、経鼻内視鏡は選択しやすい検査方法になるでしょう。

負担が少なければ検査中にリラックスしやすくなるため、医師とのコミュニケーションも取りやすく、検査がスムーズに進む点もメリットのひとつです。

麻酔を使わなくてもできる

経鼻内視鏡検査は、麻酔や鎮静剤を使わずに行えるため、患者さんの負担がさらに軽減します。

従来の経口内視鏡では、不快感を抑えるために鎮静剤や麻酔を使用することが多いですが、経鼻内視鏡はそれらがなくても検査しやすくなっています。

副作用や検査後の待機時間などの心配がなくなるため、そのようなことをネックだと感じていた人も検査へのハードルが下がるでしょう。

もちろん、必要な患者さんは麻酔や鎮静剤を使った検査も可能です。

「苦痛をもっと和らげたい」「緊張するからリラックスしたい」などの理由で、鎮静剤や麻酔の使用を希望することは問題ありません。

検査前に医師の診察や確認などが必要になるため、使用を希望する際には事前診察で医師へ相談してみてください。

検査中に医師と話しやすい

検査中に医師と会話がしやすいという点もメリットです。

従来の経口内視鏡では口にスコープを挿入するため患者さんは話すことが難しくなりますが、経鼻内視鏡は鼻から挿入するため口が自由に動き、会話可能な状態を保てます。

検査中に気になることを医師に質問したり、医師からの説明をその場で聞いたりするなどのコミュニケーションは、その場で疑問や不安を解消できる嬉しいメリットになるでしょう。

また、医師側も患者さんの反応を確認しやすいため、より安定した検査を実施しやすくなります。

経鼻内視鏡検査のデメリット

経鼻内視鏡

経鼻内視鏡検査はメリットが多いですが、いくつかのデメリットもあります。

ここでは、経鼻内視鏡検査のデメリットについて紹介します。

鼻腔が狭いと検査できない

経鼻内視鏡検査では鼻腔を通してスコープを挿入するため、鼻腔の構造によっては検査ができないケースがあります。例えば以下のような場合が該当します。

  • 鼻腔が狭い
  • 鼻中隔が湾曲している
  • 慢性的な鼻炎によって鼻腔が腫れている など

このような場合、医師の判断で経鼻内視鏡検査ができない恐れがあるため、経口内視鏡検査が提案される可能性があるでしょう。

粘膜がこすれて出血する可能性

経鼻内視鏡では、鼻腔を通る際に粘膜にスコープが触れるため、まれに粘膜がこすれて出血することがあります。

特に、鼻の粘膜が弱い方や過去に鼻出血の経験が多い方は、このリスクが高くなる可能性があるため、注意が必要です。

通常、出血後は自然に止まる場合がほとんどですが、不安を感じる場合やなかなか出血が止まらない場合には医師に相談しましょう。

また、以下の条件にあてはまる患者さんは出血リスクが高くなる可能性があります。

  • 血液をサラサラにする薬を服用している
  • 日常生活で鼻出血が出やすい体質
  • 強度のアレルギー鼻炎を持っている
  • 血圧が高い
  • 肝硬変・血液疾患の患者さん など

いずれも事前の診察で確認される事項ですが、患者さん本人も意識しておきましょう。

出血リスクが高いと感じた場合には、無理に経鼻内視鏡検査するのではなく、従来の経口内視鏡検査を選択した方がいいこともあります。

鉗子口が細い

経鼻内視鏡はスコープの直径が細いことから、体内で組織を採取したり異物を除去したりする『鉗子口』のサイズが従来の経口内視鏡より小さく設計されています。

そのため、検査中に組織採取や異物除去が必要な状態や病変が見つかった場合でも、対応できる範囲が限られることがあります。

大きな病変や広範囲な組織検査を行う場合には、経鼻内視鏡よりも経口内視鏡が適しているケースもあり、事前の診察で医師が状態に応じて判断することになるでしょう。

経鼻内視鏡と経口内視鏡の違いは?

経鼻内視鏡

経鼻内視鏡と経口内視鏡はどちらも『胃に内視鏡を入れて状態を観察する』という点に違いはありません。

しかし、検査方法や内視鏡のサイズなどに違いがあるため、目的や患者さんの状態によって使い分けられます。

ここでは、経鼻内視鏡と経口内視鏡の違いを見てみましょう。大きな違いとしては以下が代表的です。

経鼻内視鏡経口内視鏡(従来の胃カメラ)
挿入方法鼻から口から
内視鏡の太さ5〜6mm9〜10mm
嘔吐反射起こりにくい起こりやすい
注意点鼻腔が狭い場合は不可嘔吐反射が強い場合は不快感が強い

内視鏡の太さは経鼻内視鏡が5〜6mm、経口内視鏡が9〜10mmです。経口内視鏡のほうが太く、経鼻内視鏡検査のサイズと比較すると2倍もの差になることがあります。

どちらを選ぶかは患者さんの希望や状態、医師の判断などによりますが、挿入する内視鏡のサイズや嘔吐反射のことを考え、より負担を軽減したいという人は、経鼻内視鏡検査が向いているでしょう。

経鼻内視鏡の画質が違うという話は本当?

経鼻内視鏡の画質は経口内視鏡よりもやや粗いといわれてきました。しかし、近年では技術の進歩により、以前よりも高解像度に改良されたものが増えています

とはいえ、「より鮮明な画像で診断してほしい」というご希望があるのも当然です。不安であれば経口内視鏡検査を希望することも可能なため、医師への相談をおすすめします。

なお、医療機関によって導入している機器が異なるため、受診する際にはいつ頃から使用されている機器であるかを確認するとよいでしょう。

経鼻内視鏡と経口内視鏡のどちらを選ぶ?

経鼻内視鏡

さまざまな要因から、経鼻内視鏡検査は人によって向き・不向きがあります。その場合は経口内視鏡検査を選択するのもよい方法です。無理をせず、自分に適した方法を選択しましょう。

ここでは、検査で経鼻内視鏡と経口内視鏡のどちらを選択するか、それぞれに向いている人について紹介します。

経鼻内視鏡が向いている人

経鼻内視鏡は、嘔吐反射が強い人や、過去の経口内視鏡で不快感を感じた経験がある人には特におすすめです。

スコープが喉を通らないため嘔吐反射が起きにくく、検査中のストレスが軽減され、リラックスした状態で検査を受けやすくなります。

また、鎮静剤や麻酔を使用しなくても検査を受けやすいため、身体への負担が少ない点もメリットになるでしょう。

もちろん、希望すれば鎮静剤や麻酔を使用した経鼻内視鏡検査も可能です。検査に不安や緊張を感じる人は、医師と相談して使用を検討してみてはいかがでしょうか。

経鼻内視鏡では、検査中に医師とコミュニケーションを取ることも可能です。

その場ですぐに質問できたり、医師との会話で安心感を得たりなど、リラックスしながら検査を受けやすくなります。

経口内視鏡検査が向いている人

経口内視鏡は、精密な処置が必要な場合や、より広範囲の観察が求められる検査を受けたい人におすすめです。

例えば、組織採取やポリープの切除などの治療を伴う検査では、鉗子口が大きな経口内視鏡のほうが適しています。

また、鼻腔が狭く経鼻内視鏡が挿入できない方や、鼻の粘膜に問題がある人は経鼻検査が受けられない可能性が高いため、経口内視鏡検査がよいでしょう。

医師と相談の上、自分に適した検査方法を選択しましょう。

内視鏡検査の流れ

経鼻内視鏡

経鼻内視鏡検査・経口内視鏡検査は、どちらも前日からの準備が必要になります。

ここでは広尾クリニック内科・消化器を例に、前日から検査後までの流れを紹介します。以下の表を参考にしてみてください。

検査の流れ内容
検査予約・診察の上、内視鏡検査の予約をします。
※事前受診が不要な場合もあるため確認してみてください。
検査前日・20時までに夕食を済ませます。
・水、お茶、スポーツドリンクの制限はありません。
検査当日・常用している内服薬があれば服薬します。
・水、スポーツドリンクが摂取できます。
検査・内視鏡検査を行います。
※鎮静剤を使用する場合は事前に注射します。
検査後・鎮静剤を使用した患者さんはしばらく休憩します。
・医師から検査結果の説明を受け、終了です。

特に大きな異常がなければ、検査そのものは約5~8分で完了します。

なお、鎮静剤を使った検査の場合、当日中は患者さんご本人による運転はできません。車で来院を予定している人は、タクシーやバスの利用や、付き添いの人の運転でお越しください。

まとめ

経鼻内視鏡検査は従来の経口内視鏡検査よりも身体の負担が少なく、嘔吐反射や不快感を軽減しながら検査を受けられます。

スコープを口に通さないため検査中も会話ができ、医師とコミュニケーションが取りやすい点もメリットになるでしょう。

一方、デメリットとしては粘膜からの出血の可能性や、鼻腔の形などによってはスコープが通せないなどがあげられます。

メリット・デメリットを比較しながら、自分に合った方法で内視鏡検査を受けましょう。

広尾クリニック内科・消化器では経口内視鏡・経鼻内視鏡の検査が選択できます。

患者さんの状態やご希望に応じて経鼻内視鏡・経口内視鏡検査をご案内し、負担に配慮しながら専門医が丁寧に検査します。ぜひお気軽にご相談ください。