健康診断で何がわかる?検査項目と見つかる病気・リスクを解説

健康診断 何がわかる

健康診断は、自覚症状が出にくい生活習慣病やがんなどを早期に見つけ、健康を保つために効果的な方法です。

血液検査や尿検査、レントゲンなどを通して身体の異常を数値で把握できるため、早い段階で生活習慣の改善や治療を開始できます。

検査でわかることを理解して、日々の健康管理に反映させ、病気のリスクを軽減しながら健康的な生活を送りましょう。

そのためには、健康診断で何がわかるのか、どう活用するべきかなどを知っておくと便利です。

この記事では、健康診断の目的や検査項目、結果の活用法などについて紹介します。健康診断で何がわかるのか、診断結果をどう活かせばいいかなどの疑問がある人はぜひ参考にしてください。

健康診断を受ける意味とは

健康診断 何がわかる

健康診断は自覚症状のない病気や体の変化を数値でわかりやすく把握し、生活習慣の見直しや受診のきっかけになる検査です。

ここでは、健康診断の必要性や、受けるべき対象者などについて紹介します。

健康診断はなぜ必要なのか

健康診断は身体の異常を早期に発見し、重症化を防ぐために有効な検査です。

重大な病気の中には初期段階で自覚症状が乏しいものもあり、日常生活の中で変化に気付けないことも珍しくありません。

例えば、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の多くは自覚症状がないまま進行します。放置すれば心筋梗塞や脳卒中のような重大な病気の引き金になりかねません。

定期的な健康診断を受けることにより、血圧・血液・尿などの検査結果から体内の異常を客観的に把握できるようになります。

結果によっては再検査や生活習慣の改善指導が指示されるため、健康的な生活をスタートさせるきっかけになるでしょう。

また、毎年1回受けることで、過去の検査結果と比較できるようになり、体調の推移の把握や異変への早期対応にも役立ちます。

どんな人が受けるべきか

健康診断は年齢や職種、加入保険制度に応じて対象者が定められています。

例えば、協会けんぽの生活習慣病予防健診では、35歳から74歳までの被保険者が対象になっています。

35歳以降は生活習慣病のリスクが高くなるため、健康診断が健康管理に役立つでしょう。

また、家族に糖尿病や高血圧などの既往がある人や、喫煙・飲酒・運動不足などの生活習慣がある人では、症状がなくても検査値に変化が見られる場合があります。

若年層の場合、勤務先や自治体の健診制度を利用できる機会があります。

医療機関での自主的な受診や人間ドックの受診もおすすめです。

年代にかかわらず、健康管理や病気のリスクを軽減する手段として健康診断を活用してみてはいかがでしょうか。

健康診断でわかる主な内容

健康診断 何がわかる

健康診断は検査項目ごとに異なる目的が設定されており、生活習慣病の兆候やがんの初期段階、自覚症状がない異常など、さまざまな健康リスクの把握に役立ちます。

ここでは、一般的な健康診断でわかる内容を紹介します。

生活習慣病のリスク評価

生活習慣病の発症リスクを把握するためには、血圧・血液・尿などの検査結果をもとにした体内の状態確認が有効です。

例えば、血圧が高めであれば高血圧が疑われ、血糖やヘモグロビンA1cの値に異常がある場合には糖尿病の可能性が考えられます。

コレステロールや中性脂肪の数値は脂質異常症との関連が深く、いずれも初期には症状が出ないことも多いです。

このような数値の変化は生活習慣と関係しているため、健診結果を通じて早期に傾向を把握し、食事や運動、喫煙などの習慣を見直すと、発病や重症化を防ぎやすくなるでしょう。

がんや重大な病気の早期発見

健康診断では、がんや重大疾患の初期兆候を把握するための検査も実施されます。

例えば、胸部レントゲン検査は肺がんや結核などの呼吸器疾患の有無を確認する目的があります。

便潜血検査では、大腸ポリープや大腸がんの可能性が指摘される場合もあり、その際には再検査や、精密検査での下部内視鏡検査(大腸カメラ検査)が必要です。

このような病気は進行するまで自覚症状が現れにくいことが多く、発見が遅れると治療の選択肢が狭まる恐れがあります。

自覚症状がない異常の発見

健康診断は、自覚がないまま進行する身体の異常に気付くきっかけとしても有効です。

日常生活では意識しづらい体調の変化や臓器の状態を数値で確認することにより、異常を早期に把握できます。

例えば、尿検査でたんぱくが検出された場合には腎機能に影響が出ている可能性があり、心電図の異常は不整脈や心疾患の兆候の可能性があります。

このような異常は、本人にとって自覚が乏しいまま進行することが多いため、検査での定期的な確認は有効な健康管理方法です。

さらに、毎年健康診断を受けていれば数年分の数値が比較でき、変化に気付きやすくなります。

主な検査項目とその意味

健康診断 何がわかる

健康診断では、身体の状態を客観的に把握するための基本的な検査が複数行われます。

ここでは、主な検査項目について紹介します。

身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)

身体計測は、体格の変化を確認するために行われます。

特にBMIや腹囲の数値は以下のような項目の把握に役立ちます。

  • 肥満の程度
  • やせの程度
  • 内臓脂肪の蓄積状況 など

メタボリックシンドロームの判定にも用いられる重要な指標です。

血圧測定

血圧測定は、高血圧や低血圧の有無を確認するために実施されます。

血圧の異常は動脈硬化や心疾患と関係していることが多く、血圧測定は早期のリスク評価に欠かせません。

測定値はその場で確認され、基準値との差がすぐにわかります。

血液検査

血液検査は、多くの疾患や健康状態の把握に役立つ検査です。主に以下のようなことがわかります。

  • 全身状態
  • 腎機能
  • 肝機能
  • 脂質
  • 糖尿病
  • 骨髄の異常
  • 感染症
  • 貧血
  • 多血症 など

重要な内臓機能や病気、伝染病など幅広い範囲の健康状態が把握できます。

尿検査

尿検査は、腎臓や尿路、糖代謝に関する異常を確認するために実施されます。尿たんぱくや尿糖が陽性の場合、腎機能の低下や糖尿病の疑いが出てきます。

採尿のみで済むため手軽ですが、細かい状態や隠れた病気を見つけやすい重要な検査です。

心電図

心電図は心臓の電気的な活動を記録する検査で、不整脈や心筋梗塞など、心疾患の発見のきっかけになる検査です。

短時間の検査で心臓の状態を視覚化できるため、重大な病気の早期発見や治療に欠かせません。

胸部X線検査

胸部X線検査は、肺や心臓の形状や陰影を確認するための画像検査です。以下のような病気のリスク把握につながります。

  • 肺炎
  • 肺がん
  • 結核
  • 心肥大
  • 心血管の異常

呼吸器疾患だけではなく、心臓関連の異常にも対応しています。

便潜血検査

便潜血検査は、消化管からの出血を確認する検査です。僅かな出血でもキャッチしやすく、大腸がんやポリープの兆候を発見します。

簡便な方法でも検出精度が高く、がんをはじめとした消化器系の病気を早期発見するためには有効な検査です。

便潜血検査で異常が指摘されると、再検査・要精密検査に進むことが多いです。

視力聴力検査

視力関連と聴力の検査は、目や耳など感覚器の機能低下や病気の兆候を確認します。異常がある場合、主に以下のような病気が考えられます。

検査名わかる病気や症状
視力検査視力低下
聴力検査難聴

年齢に伴う変化だけでなく、病気による影響も含めて評価されます。

視力や聴力は生活の質に直結するため、早期発見・早期治療が大切です。

必要に応じて行う追加検査

必要性や患者さんの希望に応じて、追加検査が行われることもあります。以下が代表的な追加検査です。

  • 超音波検査(エコー検査)
  • 腫瘍マーカー検査 など

このような検査は一般的な定期の健康診断で行われることは少なく、あっても有料オプションだったり、人間ドックで実施されたりすることがほとんどです。

定期的な健康診断に組み合わせれば、全身の健康状態をより多面的に確認しやすくなるでしょう。

検査の内容や必要性は医師と相談し、個々の健康状態や希望、予算に応じて選択してください。

追加検査の費用に関しては基本的に保険の適用外で全額自費が基本です。

しかし、何らかの異常があり、医師が必要だと判断した上で実施される場合はその限りではなく、保険診療の対象になるケースもあります。

健康診断の結果をどう活用するか

健康診断 何がわかる

健康診断は受けて終わりではなく、結果を日常生活に反映させることで、継続的な健康維持につながります。

ここでは、健康診断後におすすめしたい具体的な対応について紹介します。

異常値が出た場合の対応

健康診断で異常が見つかった場合は、早めの対応が必要です。放置すると病気が発症したり、進行・重症化する可能性が否定できません。

指摘された項目については精密検査を受け、必要に応じて治療をスタートさせましょう。

生活習慣に関係する項目では、医師のアドバイスを受けながら食事や運動、喫煙習慣などを見直してください。

自己判断で軽視せず、医療機関のアドバイスを受け入れて行動することが、将来的な健康リスクを下げるために欠かせません。

また、診断結果は現状の確認だけでなく、今後の生活を改善するための手がかりとしても活用しましょう。

異常なしの時も安心しすぎない

健康診断で異常がなかった場合でも、「健康だからもう大丈夫」と過信するのは避けましょう。現時点で異常が見られないとしても、将来的なリスクが完全になくなったわけではないためです。

例えば、前年の結果と比較して微妙に数値が上がっている項目があるかもしれません。この場合、生活習慣の影響が徐々に現れている可能性もあります。

年齢や生活環境の変化にともない、健康状態は日々変わるため、「異常なし」とされた場合も日常生活の中で食事・運動・睡眠などのバランスに配慮することをおすすめします。

また、定期的な健康診断は欠かさないようにしましょう。毎年の数値変化を記録し、変化も見逃さない姿勢が将来の健康維持につながります。

検査を受ける際の注意点

健康診断を受ける際には、検査の精度を高めるため、事前に注意点を把握しておきましょう。

例えば、血液検査の場合は絶食を指示されるケースが多いです。指示された絶食時間を必ず守り、当日の飲食は避けてください。

ただし、水分補給のために水やお茶を飲むことは問題ありません。水やお茶以外では、飲んでよい飲料、飲んではいけない飲料があるため、指示を守って選択しましょう。

問診票の記入では、既往歴や現在の服薬状況、体調の変化について正確に申告してください。

このような情報が不正確だと、検査結果の評価に支障が出て、再検査の対象になる可能性もあります。

不明な点がある場合は受診前に必ず医療機関に確認し、指示を守りましょう。

十分な準備をしておくことで、検査結果の信頼性が高まり、より効果的な健康管理につながります。

まとめ

健康診断は、病気の早期発見や健康維持に役立つ大切な機会です。

定期的に受診することにより、自覚症状のない段階でも生活習慣病や重大な疾患の兆候を見つけやすくなり、予防や治療などの適切な対応が取れるようになります。

検査で異常が見つかった際は、必ず医師の指示を聞き、精密検査や治療などの必要な手続きを行ってください。

また、異常がなかった場合でも油断せず、生活習慣の見直しや毎年のデータを比較して、変化や気になる点があれば医師への相談や詳しい検査を検討することが大切です。

健康診断の結果でわかることを活用して、自分の健康状態を客観的に把握しながら、将来の病気予防や毎日の健康維持を目指しましょう。

広尾クリニック内科・消化器では、定期健康診断・雇入れ時健康診断、生活習慣病健診、特定健康診査、人間ドックをご提供しています。

また、健康診断で異常が認められた患者さんの再検査・精密検査にも対応可能です。

必要であれば専門医・指導医による、苦痛に配慮した下部内視鏡検査(大腸カメラ検査)や上部内視鏡検査(胃カメラ検査)も受けていただけます。

健康診断や人間ドック、再検査・精密検査が必要な方は、お気軽にご相談ください。