胃カメラの鎮静剤の効き目は?効きやすい人の特徴や効かないケース

胃カメラ 鎮静剤 効きやすい人

胃カメラ検査は鼻や口から内視鏡を挿入するため、不快感や不安を感じる人も少なくないようです。そのような負担を軽減するために鎮静剤が使用されることがあります。

しかし、中には鎮静剤が効きにくいケースもあり、その違いにはさまざまな原因が関係しています。

また、検査後に「記憶がない」と感じる人もいるため、その理由や使用する鎮静剤の特性についても知り、疑問や不安を解消しておくとよいでしょう。

この記事では、胃カメラ検査で使われる鎮静剤の効き目について、具体的な特徴や仕組み、検査を安心して受けるためのポイントなどを詳しく紹介します。

胃カメラ検査の鎮静剤について疑問や不安がある人は、ぜひ参考になさってください。

胃カメラ検査で鎮静剤を使う目的

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胃カメラ検査では不安や不快感、痛みなどを感じる患者さんが快適に検査を進めるため、鎮静剤が使用されることがあります。

使用する際には患者さんの健康状態や体質などを考慮し、医師が適切な管理を行います。

胃カメラ検査で鎮静剤を使用した際、期待できる効果は以下が代表的です。

  • 不安や緊張、不快感の軽減
  • 身体の緊張の軽減
  • 検査精度の向上

患者さんがリラックスして検査を受けられるだけではなく、検査中に落ち着いた状態を維持できていると、内視鏡を操作する医師も細部まで観察しやすくなり、検査精度の向上につながります。

特に嘔吐反射が強い人や、過去に検査で辛い経験をした患者さんには鎮静剤の使用がおすすめです。そのほか、検査に対する不安が強い人にも向いているでしょう。

鎮静剤が効きにくい人の特徴

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人によっては鎮静剤が効きにくいと感じることがありますが、多くの場合、体質や生活習慣、心理的なものが影響しています。

ここでは、鎮静剤が効きにくい人の特徴について紹介します。

アルコールに強い人、飲酒機会が多い人

頻繁な飲酒は身体が薬剤に対して耐性を持つ原因になることが知られており、アルコールに強い体質の人や日常的に飲酒をしている人は、鎮静剤が効きにくい場合があります。

ただし個人差があり、アルコールに強くても鎮静剤が効きやすい人もいます。心配な点があれば前もって医師に相談しておくと安心です。

鎮静剤の投与量が少なかった

鎮静剤の投与量が少なく、患者さんにとって適切な量ではなかった場合も、効果を感じにくくなることがあります。

鎮静剤の投与量は0.1mgごとのとても少ない単位でコントロールされており、ほんの少しの違いで患者さんが感じる効果が変わるものです。

しかし、前述のアルコールに強い人や、次で述べる精神的な不安が大きい人などは鎮静剤が効きにくいことがあり、効果が薄いと感じることがあります。

このような場合には、追加投与による調整が行われるため、「検査中に鎮静剤の効果がなくなったらどうしよう」と心配する必要はありません。

また、検査前の段階で鎮静剤の使用量に関する心配や希望を医師に伝えておくことも、万が一の場合に備えやすくなるでしょう。

検査に対する不安や緊張が強かった

検査に対する強い不安や緊張は、鎮静剤の効果を弱める可能性があります。このような場合には、検査前にリラックスするための方法を取り入れるとよいでしょう。

例えば、リラックスできる音楽を聴く、深呼吸、瞑想、趣味を楽しむなどの行動がおすすめです。

また、医師や看護師に不安を率直に伝え、検査の目的や安全性、万が一の対応法などを確認しておくことによって、不安や緊張を和らげやすくなるでしょう。

広尾クリニック内科・消化器でも、患者さんの検査前の不安や緊張を取り除くため、ご希望があれば改めて検査内容の詳細な説明や、安全性についての確認をしています。

もし強い不安や緊張、心配を感じるようなことがあれば、いつでも医師やスタッフにお声掛けください。

胃カメラ検査で鎮静剤が効きやすい人の特徴

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内臓機能が低下している方やお酒に弱い方は、鎮静剤が効きすぎてしまうことがあるため、鎮静剤の量を慎重に管理する必要があります。

もしも万が一効きすぎてしまった場合でも、基本的には拮抗薬(対象の薬の薬効を妨げる薬)によって対処可能です。

なお、鎮静剤の効果はご本人の感じ方のほか、医師が必ずチェックするため、効かないまま検査を進めることはありません。

もしも効果が薄いと判断した場合には、すぐに追加投与などの対処が行われます。

鎮静剤の効き方に関して不安を持つかもしれませんが、心配しすぎずに検査を受けてみてください。

胃カメラ検査で使われる鎮静剤について

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胃カメラ検査では鎮静剤が使用されますが、中には「鎮静剤と全身麻酔は同じものなの?」と疑問を持つ人もいるかもしれません。

それぞれ似た性質を持っていることは確かですが、厳密に言えば違う点があります。

ここでは、鎮静剤と全身麻酔の違いや、胃カメラ検査で使用されることが多い代表的な薬剤について紹介します。

鎮静剤と全身麻酔の違い

鎮静剤と全身麻酔は、どちらも患者さんの負担を軽減する目的で使用されますが、その作用や目的には明確な違いがあります。

鎮静剤は、患者さんがリラックスした状態を保ちながらも、必要に応じて医師と意思疎通が可能な『軽度から中程度の意識低下』が目的です。

一方、全身麻酔は完全な意識喪失を伴い、患者さんがまったく覚醒していない状態を作り出します。

胃カメラ検査では、一般的に鎮静剤を選択する医療機関が多いです。

広尾クリニック内科・消化器でも鎮静剤を使用し、患者さんと検査中も意思疎通をできる状態を保ったまま検査を進めています。

胃カメラ検査で使用される代表的な鎮静剤

胃カメラ検査で使われる代表的な薬剤として、『セルシン』と『ミダゾラム』が挙げられます。それぞれの特徴について、以下で詳しく説明します。

セルシン

セルシンは、昔から使われてきた歴史の古い鎮静剤です。

安価であるものの、血管刺激が強く血管痛を起こすことがある、検査後も麻酔の効果が残りやすいといったデメリットがあります。

ミダゾラム

ミダゾラムは、胃カメラ検査で多く使用されている鎮静剤です。抗不安作用、鎮静作用、睡眠作用があり、患者さんの不安感を軽減しながらリラックスした状態で検査を受けられるようにサポートします。

効果が適度で、麻酔がかかるまでの時間や覚醒までの時間が短いことも特徴です。

万が一効きすぎてしまった場合でも、拮抗薬の『フルマゼニル』でスピーディーな対応が可能です。

一方で、お酒が強い人や日常的に抗不安薬を服用している人は効果が弱くなる場合があるため、ほかの鎮静剤が検討されるケースがあります。

お酒の強さや抗不安薬の服用などに心当たりがある人は、事前の診察で医師に伝えておきましょう。

鎮静剤を使用すると胃カメラ検査中の記憶がなくなるのは本当?

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胃カメラ検査を受けた際、「検査中の記憶がない」と感じる人もいます。使用した鎮静剤の効果が関係していることが多く、過剰に心配する必要はない現象です。

ここでは、鎮静剤を使うと胃カメラ検査中の記憶がなくなるといわれる原因や、鎮静剤との関係について紹介します。

鎮静剤が効いて深く眠った

鎮静剤の効果によって患者さんが深い眠りに入った場合、その間の記憶がなくなることがあります。眠っている間の記憶がないことは当然と言えば当然かもしれません。

検査が終わった後、「気がついたら終わっていた」という感覚を持つ人が多いのはこのためです。

このような感覚は鎮静剤がしっかり作用した証拠であり、不快な記憶が残らないという点で、患者さんにとってメリットとも考えられます。

鎮静剤の健忘効果

胃カメラ検査で使用される『ミダゾラム』のようなベンゾジアゼピン系鎮静剤には健忘効果(一定期間の記憶がなくなる効果)があります。

この健忘効果により、検査中の記憶をほとんど残さない患者さんもいますが、一時的な効果のため、検査後の日常生活で記憶力に悪影響が生じることはありません

鎮静剤の健忘効果によって検査中の不快な記憶が残らないため、患者さんは検査後に恐怖や不安を感じにくく、次回の検査にも前向きに臨みやすくなります。

定期的に胃カメラ検査での経過観察などが必要な患者さんにとって、そのような効果はメリットになるでしょう。

検査中は医師や看護師が適切な投与量を調整しているため、健忘効果に対する過度な心配は不要です。

胃カメラ検査を安心して受けるためのポイント

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胃カメラ検査で鎮静剤の適切な効果が得られるように、事前の診察で医師と相談したり、リラックスできるように意識してみましょう。

ここでは、事前準備でおすすめの方法を紹介します。

事前に医師と相談する

事前に医師と十分に相談することは重要です。特に、自身の体質や鎮静剤に対する考え方、不安感などを正直に伝えれば、医師が適切な鎮静剤の種類や使用量を考慮しやすくなります。

医師からは鎮静剤の使用量や検査の流れ、検査後の注意点など、具体的な説明やアドバイスが受けられます。

既往歴や現在服用している薬がある場合は、必ず前もって医師に伝えておき、検査に影響を及ぼす可能性についても確認しておきましょう。

また、常用している薬によっては医師の指導によるコントロールが必要になる可能性があります。

検査中や検査後のトラブル防止のためにコントロールが必要になるケースもあるため、どのような薬でも必ず相談してみてください。

検査前の生活習慣の見直し

胃カメラ検査をスムーズに受けるためには、検査前の生活習慣を見直すことも重要です。栄養バランスの取れた食事を心がけ、十分な睡眠を取るなど、体調を整えましょう。

体調がよい状態で検査を受けられれば、検査中のリスクを軽減しやすくなります。

無理なスケジュールやストレスがかかるようなイベントを避け、余裕を持って準備しましょう。

リラクゼーション方法を試してみる

検査当日にリラックスした状態を保つことは、胃カメラ検査を快適に受けるために大切です。

自分に効果がありそうな、または自分好みのリラクゼーション方法を取り入れ、穏やかな気持ちでいられるようにしましょう。

例えば、深呼吸は手軽にできるリラクゼーション方法として効果的です。ゆっくりと息を吸い込み、吐き出すことで緊張をほぐしやすくなります。

また、好きな音楽を聴いたり、瞑想やストレッチを取り入れるのも心身をリラックスさせる効果が期待できるでしょう。

検査前にはリラックスできる時間を設け、不安や緊張を軽減してみてください。

まとめ

鎮静剤を使った胃カメラ検査を受ける際、鎮静剤の効果や、万が一効きにくかった場合の不安感などを持つ人も多いでしょう。

多くの人は鎮静剤が適切に効きますが、生活習慣や当日のメンタルバランスなどによっては効果を感じにくいこともあります。

もしも効果を感じにくい場合でも、医師の判断で鎮静剤を追加したり、効果が期待できる別の薬剤を使ったりなどの対策が可能です。

効果に不安がある人は、事前の診察や当日準備の際に医師へ相談してみるとよいでしょう。

広尾クリニック内科・消化器でも鎮静剤を使った胃カメラ検査を受けていただけます。

鎮静剤の効果や種類、万が一効果が感じられなかった際の対応方法などには万全を期しておりますが、疑問やご不安がある患者さんはお気軽に医師やスタッフまでご質問ください。