大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)は、腸の気になる症状の確認や病気の早期発見に役立つ重要な検査ですが、初めて受ける際には『検査の時間や当日の持ち物は?』など、気になることは多いでしょう。
また、大腸内視鏡検査は検査前の準備も必要なため、『どんな準備でどれくらい時間がかかるのか』といった疑問も浮かびます。
事前に必要な準備や、検査の所要時間・持ち物、検査の流れなどを知っておくと、当日はスケジュールや気持ちに余裕を持って検査に臨めるでしょう。
この記事では、大腸内視鏡検査にかかる時間や事前に準備しておきたい持ち物、検査の流れなどについて紹介します。
これから検査を受ける予定で、準備や時間、持ち物などが気になる人は参考になさってください。
大腸内視鏡検査の概要と検査時間
大腸内視鏡検査を初めて受ける人にとって、検査内容や所要時間は気になることのひとつではないでしょうか。
ここでは、検査の概要や検査にかかる時間をご紹介します。
大腸内視鏡検査とは
大腸内視鏡検査は、腸内の異常を確認するための重要な検査で、ポリープの発見や切除、がんなどの発見に役立ちます。発見される病気は以下が代表的です。
- 大腸がん
- 大腸ポリープ
- 潰瘍性大腸炎
- クローン病 など
細長いカメラを肛門から挿入して腸内を直接観察することで、病変の確認や、必要であれば切除を行います。
特に大腸がんリスクが高くなる40歳以降の人や、ご家族に既往歴がある人は、検査の検討をおすすめします。
何も症状がない場合は自費となりますが、一定の条件を満たすことで保険適用で大腸内視鏡検査を受けられるケースもあるため、確認してみましょう。
検査時間の目安
大腸内視鏡検査の所要時間は、検査自体は通常約15〜30分ですが、事前準備や待機時間も含めると全体で約4~6時間は必要になります。
特に検査中にポリープが発見され、その場で切除を行う場合にはさらに時間が延びる可能性があるため、時間に余裕を持って臨みましょう。
検査前には腸内洗浄(下剤を飲みお腹の中をきれいにする)の時間があります。この時間も検査のスケジュールに含めて考えてみてください。
広尾クリニック内科・消化器では、基本的に検査の4時間前に下剤を飲んでいただきます。
時間や日程について疑問・質問などがある患者さんは、お気軽に担当医や受付スタッフまでご相談ください。
検査時間が長くなる原因は?
検査時間には、腸の形状や腸内の状態、患者さんの状態などが影響します。
腸が長かったり彎曲が多かったりする場合には、内視鏡の挿入や操作に時間がかかることがあります。
また、女性や高齢の人は、骨盤や筋力の関係で内視鏡の挿入に時間がかかるケースも多いです。
腸内に気になる異常や病変が発見された場合には、入念に確認したり、必要であれば切除したりなどの処置を行うため、さらに時間がかかります。
なお、患者さんがリラックスした状態ほど内視鏡の挿入・操作がスムーズになります。深呼吸をしたり、鎮静剤を使用したりなど、リラックスできる方法をぜひ試してみてください。
検査以外の項目による時間の変化
大腸内視鏡検査にかかる時間は、休憩や検査結果の説明、交通手段なども含めて考えましょう。
事前の準備と検査のほか、検査後の休憩も必要です。特に鎮静剤を使う検査の場合、検査をした施設内でしばらく休憩を取る必要があります。
鎮静剤を使わない検査で休憩が不要でも、医師から検査結果の説明を受ける時間が設けられるため、このような時間も全体のスケジュールを立てる際に考慮しておきましょう。
また、鎮静剤を使う場合は自動車やバイクなどを運転しての来院・帰宅はできません。交通手段の変化で移動時間が変わる可能性もあるため、事前によく確認しておくと安心です。
広尾クリニック内科・消化器でも、鎮静剤を使った検査の場合、患者さんご自身による当日の運転を控えていただくようお願いしています。
代替の交通手段についてご相談が必要な患者さんは、受付スタッフなどにお声がけください。
大腸内視鏡検査の流れ
実際の大腸内視鏡検査は、多くの医療機関で検査予約から検査後までの流れがほぼ共通しています。
ここでは、広尾クリニック内科・消化器での大腸内視鏡検査を例に検査の流れを紹介します。全体の流れは以下の通りです。
順序 | 手順 | 内容 |
---|---|---|
1 | 検査予約 | 外来で診察後、検査予約をします。 |
2 | 前日準備 | 20時までに夕食を済ませます。 水、お茶、スポーツドリンクは20時以降も摂取可能です。 |
3 | 検査当日 | 検査4時間前から下剤を服用し、お腹をきれいにします。 水、スポーツドリンクは続けて摂取可能です。 ※常用している薬は通常通りに服用できます。 ※ただし、糖尿病や血をサラサラにする薬を服用している患者さんは、事前に必ず担当医へご相談ください。 |
4 | 検査 | 大腸内視鏡検査を行います(所要時間約15~30分)。 鎮静剤を使う場合は検査前に注射します。 |
5 | 検査後 | 医師から検査結果について説明を受けて完了です。 ※鎮静剤を使用した患者さんは説明前に休憩を取っていただきます。 |
一般的に、大腸内視鏡検査は事前の検査予約が必要です。多くの医療機関では外来で診察を受けたあとに検査予約をします。
前日準備や検査前の下剤など、食事や飲み物・行動などに制限がありますが、検査のためと割り切り、医療機関の指導通りに準備をしましょう。
持病などで日常的に薬を服用している患者さんは、基本的に検査前日・当日ともに通常通り服用できます。
ただし例外として、糖尿病や血をサラサラにする薬を服用している場合には、担当医と事前に必ず相談しましょう。
詳しくは後述の『検査前の診察時にはお薬手帳を』で説明していますので、参考にしていただければ幸いです。
準備や当日の流れ、薬の服用などで質問や不安などがあれば、担当医や医院のスタッフまでぜひご相談ください。気がかりなことを解消し、リラックスした状態で検査を受けましょう。
検査前・検査当日の服装や持ち物
検査前の診察や検査当日には医療機関へ持って行く物があります。また、服装も検査に備えたものがよいでしょう。
ここでは、検査に必要な物や服装の選び方などについて紹介します。
検査前の診察時・検査当日にはお薬手帳を
持病や関係で薬を処方されている患者さんは、前述の通り、大腸内視鏡検査の当日もいつものように服薬して問題ありません。
しかし、糖尿病の薬・血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は、必ず担当医と相談が必要になるため、検査前の診察日・検査当日ともにお薬手帳を持参しましょう。
事前の相談が必要になる理由は以下になります。
薬の種類 | 相談が必要な理由 |
---|---|
糖尿病の薬 | 食事の制限などで低血糖を起こす可能性があるため |
血液をサラサラにする薬 | ポリープ切除時の出血が止まらない可能性があるため |
糖尿病の人は、検査前日からの食事制限で低血糖を起こす可能性が否定できません。そのため、検査当日の服薬やインシュリン注射をどうするかについて考える必要があります。
また、血液をサラサラにする薬は血が止まりにくくなることがあり、検査中に発見したポリープを切除するリスクについての確認も重要です。
この時に参考になる物が、服薬している薬が記録されているお薬手帳です。担当医が実際に見て確認するため、診察時には必ず持参しましょう。
また、糖尿病や血液をサラサラにする薬以外でも、日常的に服用している薬がある人はお薬手帳を持参し、担当医が確認できるようにしてみてください。
当日の必要書類
大腸内視鏡検査を受ける際には、受付確認や検査前のチェックに必要な書類を忘れずに持参しましょう。多くの場合、以下の書類が求められます。
- 医療機関の診察券
- 健康保険証
- (必要であれば)紹介状
- 問診票、同意書
- お薬手帳 など
もともとかかりつけの医療機関で検査を受ける予定の患者さんや、事前に診察を受けている患者さんの場合、紹介状は不要です。
問診票も事前に記入を求める医療機関と当日記入でよい医療機関に分かれるため、検査を受ける施設の案内通りに用意しましょう。
ほかの医療機関からの紹介で来院する患者さんは、健康保険証や(あれば)紹介状も持参します。再診でも、前回の診察と月が替わる場合には健康保険証が必要です。
このほか、検査に関する同意書などの提出が必要なケースもあるため、事前に医療機関のスタッフへの確認をおすすめします。
服装の選び方
広尾クリニック内科・消化器では、大腸内視鏡検査の際には専用の検査着に着替えていただいているため、服装はなんでもOKです。
スマートフォンや雑誌など
大腸内視鏡検査は多くが予約制のため基本的にはスムーズに検査を受けられますが、多少の待ち時間が発生することを考慮してスマートフォンや雑誌など時間を潰せる物があると便利です。
好きなものに触れてリラックスし、検査への緊張をほぐしてみてください。
スムーズに検査を受けるための準備と注意点
大腸内視鏡検査は前日から時間をかけて準備します。特に食事制限や水分摂取、心理的なストレスなどが気になる人も多いのではないでしょうか。
ここでは、検査前日に必要な食事制限や水分摂取、ストレスの対処法などについて紹介します。
事前の食事制限や水分摂取について
大腸内視鏡検査は腸内を細部までしっかりと観察するため、検査前日から食事制限を設けます。
食事は高繊維の食品や油っこい食事は避け、消化しやすい食材を中心に選びましょう。具体的には以下のようなメニューがおすすめです。
- 具のないうどんやそうめん
- おかゆ
- 豆腐
- 鶏の胸肉やささみ
- 脂肪分の少ない白身魚
- 魚のすり身
- 具なしのみそ汁やスープ など
医療機関によっては前日から食べる検査食を用意することもあるため、その際は医療機関の指示通りにする必要があります。
食事制限がかかる理由は、下剤の効果を高めて腸内に便を残さないためです。
腸内に便が残っていると、内視鏡操作が困難になったり、便に隠れた部分を的確に観察できなかったりする恐れがあります。
空腹がつらいかもしれませんが、病変を見逃してしまうリスクを軽減するためにも、検査前日と当日の食事制限を乗り切りましょう。
また、水分摂取はそれほど極端に制限されることはありません。
例えば広尾クリニック内科・消化器では、前日は水、お茶、スポーツドリンク摂取が可能で、検査当日も水とお茶なら制限不要としています。
飲食に関しては医療機関によって対応が異なる可能性があるため、ご自身が検査をする施設で必ず確認しましょう。
心理的なストレスがあればさまざまな対処を
慣れない大腸内視鏡検査を前にして、不安や心配を持つ人も多いかもしれません。事前に検査の流れを理解し、どのように行われるのかを把握しておくと落ち着きやすくなります。
医療機関の公式ホームページに流れが記載されていれば改めて読んでみたり、医療機関へ問い合わせをしてみるのもよいでしょう。
「検査が終わったら○○を食べよう」「気になっているショップへ行ってみよう」など、検査後の楽しみを想像するのもリラックス効果が期待できます。
ほかにも好きな本を読んだり映画を観たりなど、ご自身に合う方法で心を落ち着けましょう。
検査時には鎮静剤でリラックスすることも可能なため、不安が大きい人は鎮静剤を使った検査を選択するのもおすすめです。
まとめ
大腸内視鏡検査は、当日の検査そのものは約15〜30分で終わりますが、検査前の準備を含めると約4~6時間ほどかかります。
検査中に発見したポリープの処置などによってはさらに時間がかかるほか、腸の形状や状態、患者さんの状態によっても所要時間が変わる可能性もあります。
当日は所要時間の変更を考慮し、余裕を持ってスケジュールを立てたほうがよいでしょう。
広尾クリニック内科・消化器の大腸内視鏡検査は、検査の4時間前から下剤の服用を始め、患者さんの状態に合わせながら進めていきます。
検査前日・当日の流れや所要時間、持ち物などに不明なことがあればお気軽にご質問ください。