大腸カメラは痛みがある?原因や緩和のコツを知り苦痛を軽減しよう

大腸カメラ 痛み

大腸カメラは、人によって痛みの感じ方が大きく異なる検査です。

強い痛みを訴える患者さんと、まったく痛みがないと感じる患者さんがいますが、痛みの感じ方は個人差のほか、さまざまな要因によって左右されます。

では、痛みの少ない大腸カメラにはどのような特徴があるのでしょうか。

この記事では、大腸カメラの痛みの原因や緩和のコツなどを紹介します。

はじめての大腸カメラがどんな感じか心配な人や、一度痛い経験をして次の検査も痛いのか不安な人は参考にしてください。

大腸カメラは痛い?どのような痛み?

大腸カメラ 痛み

大腸カメラでは、腹部の張りや圧迫感による痛み、引っ張られるような痛みを伴う場合があります。

一般的には軽度から中等度の痛みと表現されますが、まったく痛みを感じず寝ている間に検査が終了する人や、激痛でもう二度と検査したくない人など、感じ方には個人差があります。

健康状態や身体の強張りが痛みに影響する可能性もあるため、大腸カメラの検査はリラックスして受けることが大切です。

検査に対する不安は、事前に解消することで緊張感の緩和につながります。

また、鎮静剤・鎮痛剤を使えば検査中の痛みを抑えることができます。安心して検査を受けるためにも、痛みが心配な方は鎮静剤・鎮痛剤の使用がおすすめです。

大腸カメラの痛みの原因

大腸カメラ 痛み

大腸カメラで痛みを感じる原因には、以下のものがあります。

検査中に空気を注入するため

大腸カメラは挿入時に腸内に空気を注入するため、お腹が張り痛みを感じる場合があります。

大腸がしぼんだ状態だと内部の様子が観察しにくく、空気を注入して大腸を膨張させる必要があるためです。

それに加え、検査時間が長くなったり、空気を過剰に送り込んだりすると症状が出やすいです。

腸管を引き延ばすため

大腸カメラの検査では、腸管を引き延ばすことで痛みを感じる場合があります。

これは、曲がりくねった大腸をスコープが通過する際に、腸壁に衝突したり腸を引っ張ったりするなどの負荷がかかるためです。

大腸の内側には痛覚がありませんが、腸管内を圧迫しながらスコープが通過することで周辺の筋肉やその痛覚に刺激を与えるため、痛みが生じる可能性があります。

医師の技術力が低いため

医師の技術力が低いと、大腸カメラの検査で痛みを感じやすいです。

腸の形は人によって異なるため、内視鏡の操作や力加減など、扱い方をその都度適応させる技術力が必要です。

経験豊富な医師であれば、患者さんの腸の形に合わせた検査が可能ですが、経験の浅い医師や技術力の低い医師の場合、大腸カメラで痛みを感じる可能性が高くなります。

大腸カメラで痛みを感じる原因はさまざまですが、過去の検査が痛くて印象に残っている場合、担当した医師が下手だった可能性は否定できません。

大腸が癒着しているため

大腸の癒着がみられる患者さんの場合、大腸カメラの検査で痛みを感じやすいです。

大腸の癒着とは、大腸が周辺の組織とくっつく状態を指し、腹部の手術を行った患者さんによくみられる症状です。

大腸の位置が固定され、スコープを進めるうえでの妨げになるため、腸壁に負荷がかかりやすく、痛みを感じやすい傾向があります。

大腸カメラを痛いと感じやすい人の特徴

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以下の特徴がある人は、大腸カメラで痛みを感じやすい傾向にあります。

便秘の人・痩せ型の人

便秘の人や痩せ型の人は、大腸カメラ検査での痛みを感じやすいです。

便秘や痩せ型の人は大腸の折りたたみが複雑で、カーブが多い傾向があります。

そのため、スコープが腸管を進んでいく際に腸壁に与える力が大きくなり、痛みにつながります。

また痩せ型の人はクッション代わりになる脂肪が少なく、スコープでの刺激を腸がダイレクトに受けてしまうのも痛みを感じやすい原因のひとつです。

肥満の人

反対に、肥満の人も大腸カメラによる痛みを感じやすいです。

肥満の人は、大腸が脂肪の中に浮いているような状態になっているため、スコープの挿入時に不安定に動き、腸壁にぶつかりやすくなります。

肥満は大腸ポリープのリスクを高める原因とされているため、大腸にとって肥満は健康維持の天敵といえます。

過去に腹部の手術を受けた経験がある人

過去に腹部の手術を受けたことがある人は、大腸の癒着により痛いと感じやすいです。

虫垂炎や憩室炎などの大腸の病気以外に、胃や子宮、卵巣の病気で開腹手術をした場合にも大腸の癒着が起こる可能性があります。

大腸の癒着は、大腸カメラの検査が原因の腹痛や腹部の張り以外にも、吐き気や嘔吐を引き起こす原因になります。

腸の神経が過敏な人

腸の神経が敏感な状態の人は、大腸カメラ検査での痛みを感じやすいです。

大腸の粘膜には痛覚がありませんが、過敏性腸症候群や潰瘍性大腸炎、クローン病などを患っている場合は健康な人と比較して痛みを感じやすくなります。

また神経が敏感な状態の大腸は、痙攣を起こしてスコープが挿入しにくくなるためさらに痛みを伴いやすいです。

大腸カメラに対して不安を感じ、痛みを過剰に怖がることで余計に痛く感じるケースもあるため注意が必要です。

鎮静剤や鎮痛剤が効きづらい人

鎮静剤や鎮痛剤が効きづらい状態の人は、大腸カメラ検査に対する痛み対策が難しい可能性があります。

これらの薬品が効きづらい人の特徴としては、体質や内服薬の影響などが考えられ、安定剤や抗不安薬を服用しているなどが原因として挙げられます。

その他、鎮静剤が禁忌である患者さんもいるため、鎮静剤や鎮痛剤の使用を希望する場合は必ず事前に相談しましょう。

大腸カメラは痛くても受けるべき?

大腸カメラ 痛み

大腸カメラは痛みを伴う可能性がありますが、以下の病気を早期発見・治療するために定期的に受けることが推奨されます。

  • 大腸ポリープ
  • 大腸がん
  • 潰瘍性大腸炎
  • クローン病
  • 感染性腸炎
  • 虚血性腸炎
  • 大腸憩室炎
  • 過敏性腸症候群

大腸の病気には初期症状がないケースが多く、発覚した時点で進行している可能性が高いため、早期の発見と治療が重要です。

特に、大腸ポリープは放置するとがんになる可能性があります。

大腸カメラは個人差によって痛みを感じる場合がありますが、どの医療機関も可能な限り痛みの対策に努めています。

なかには命に関わる疾患もあるため、勇気を出して一度受診することをおすすめします。

大腸カメラを楽に受けるポイント

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ここからは、大腸カメラを楽に受けるポイントを紹介します。

便秘を改善する

痛みを軽減できるよう、検査前から便秘を解消する意識を持つことが大切です。

便秘が改善されると、大腸カメラでの痛みや苦痛を抑えられるだけではなく、腸管洗浄がより綺麗に行えるため検査精度の向上にもつながります。

消化器内科や胃腸内科で大腸カメラの検査を受ける場合は、事前に便秘について相談しておくとよいでしょう。

自分に合った下剤や鎮静剤・鎮痛剤を使用する

検査時に使用する下剤や鎮静剤・鎮痛剤はさまざまな種類があるため、自分に合ったものを選択することが大切です。

大腸カメラの検査前の腸管洗浄は、痛みの軽減のほか検査をスムーズに行ううえで非常に重要なため、洗浄力・味・飲み方などを考慮して苦痛を感じないものを選択しましょう。

鎮静剤や鎮痛剤は、大腸カメラの検査をストレスなく受けるのに効果的ですが、個人差によって使用が制限されることや効きにくいことがあります。

またデメリットもあるため、使用を希望する際は医師に詳細を確認することが大切です。

大腸カメラが痛い場合の対処法

大腸カメラ 痛み

大腸カメラの検査後も痛みが続く場合は、以下の方法で対処しましょう。

時間経過により治癒するのを待つ

大腸カメラの検査後にみられる腹痛は、自然に治癒するのを待ちましょう。

腸管洗浄やスコープの刺激が原因で腹痛が残る場合、ほとんどが1〜2日で改善されます。

それ以上経過しても痛みが引かない場合や、症状がひどくなる場合は、合併症を引き起こしている可能性があるため、早めに医療機関を受診してください。

座薬や軟膏により痛みを和らげる

複数回のトイレやスコープの挿入によっておしりに痛みを感じる場合は、座薬や軟膏などで痛みの緩和に努めましょう。

検査後におしりが痛む場合に使用できる座薬や軟膏は、医療機関によって処方可能な場合もあるため、必要な場合は相談をおすすめします。

おならをする

お腹の張りによる痛みを感じる場合は、おならをすることで改善されます。

大腸カメラの検査では、腸内に空気を注入することでお腹が張るため、痛み・不快感・吐き気などを感じる場合があります。

この場合、おならをすることで張りが軽減され痛みが改善されるため、恥ずかしがらずに排出しても問題ありません。

広尾クリニック内科・消化器では、二酸化炭素を送気することでお腹が張らない大腸カメラ検査が可能です。

大腸カメラの負担を抑える医療機関の選び方

大腸カメラ 痛み

ここからは、大腸カメラによる身体への負担を抑える医療機関の選び方を紹介します。

技術力の高い医師が在籍しているか

大腸カメラの負担を抑えるためには、技術や知識に長けた医師や消化器内視鏡専門医が在籍している医療機関を選択しましょう。

大腸カメラの痛みや苦痛の程度は、検査を担当する医師の経験や技術力で大きく異なります。

大腸カメラには検査時の苦痛を軽減する無送気軸保持短縮法と呼ばれる方法があり、習得するのに多くの経験と修練が要される方法です。

これが行える医師は技術力が高いため、このような医師が在籍している医療機関を選択するのが理想です。

大腸の状態や痛みの感じ方には個人差があるため、患者さん一人ひとりに合った方法で大腸カメラを行える医師を見つけることが重要です。

自分に合った鎮静剤・鎮痛剤の用意があるか

大腸カメラの痛みや苦痛を軽減するためには、鎮静剤や鎮痛剤が適切に選択できる医療機関を選びましょう。

大腸カメラを受ける際に使用する鎮静剤は、ウトウトした状態で不安を感じることなく検査を受けるために投与するもので、鎮痛剤は痛みに配慮した検査を行うために投与するものです。

鎮静剤・鎮痛剤は自分に合った種類を選択するほか、適切な量を使用する技術のある医師を見つけることも重要です。

医療機器や設備が充実しているか

大腸カメラの痛みを軽減するためには、医療機器や設備が充実している医療機関を選択することが大切です。

大腸カメラにはさまざまな種類があり、個人の腸の状態に合わせたスコープを使用することで痛みの軽減につながります。

個人に合わせた機器を選択できる医療機関は、痛みの軽減のほか高い検査精度も期待できるのが特徴です。

大腸カメラができない人の特徴

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以下の特徴がある人は、大腸カメラの検査ができない可能性があります。

下剤を服用できない人

下剤の服用が難しい人は、大腸カメラの検査ができない可能性があります。

大腸カメラの検査では、2リットル近い液体の下剤を体格や年齢に関わらず飲み切る必要があります。

便秘の場合、さらに追加で飲む必要があるケースもあるため、この腸管洗浄の過程が苦痛に感じる患者さんも多いです。

どうしても飲み切れない場合は、胃に直接下剤を注入する方法もありますが、高齢者の方や健康状態などの理由によっては適応できないケースもあるため注意が必要です。

持病がある人

一部の腸の疾患や呼吸器・循環器系の疾患などの持病がある人は、大腸カメラの検査を受けられない可能性があります。

腸閉塞がみられる場合、便が詰まることで症状が悪化する可能性があるため、検査は医師と要相談になります。

また大腸カメラの検査は身体に負担がかかるため、呼吸器系や循環器系の疾患を持つ高齢者の方は特に注意が必要です。

検査後の緊急処置への対応が難しい人

検査後の緊急処置に対応できない人は、大腸カメラでの検査のほか、病変の切除や治療などが行えない可能性があります。

内視鏡検査は、出血や穿孔などを引き起こす可能性があり、この場合は緊急の手術や入院を要される場合があります。

また、大腸カメラによってポリープやがんが発覚しても、その治療を受ける体力がないとされる人は、検査をしない選択をすることもゼロではありません。

まとめ

大腸カメラの痛みの原因や緩和のコツについて紹介しました。

大腸カメラは痛みや不快感を伴う検査ですが、医療機関の選び方や受け方のコツを押さえることで苦痛の軽減が可能です。

事前の下調べと医師への相談で安心して受けられる方法を見つけましょう。

広尾クリニック内科・消化器では、専門医が高解像度の最新機種を用いてプライバシーに配慮した内視鏡検査を行います。

適切な鎮静剤の使用と、お腹の張りに配慮した二酸化炭素送気で苦痛を軽減した大腸カメラ検査が可能です。

大腸の病気は、早期発見と治療が重要ですので、症状が現れる前にぜひ一度検査にお越しください。